第26回

20世紀少年』『BILLYBAT』と読んだ次に『新説ザ・ワールド・イズ・マイン』を読んでる。この後は『キーチ!!』『キーチVS』を読みたいな。

 

浦沢直樹新井英樹……ガツンくるのは、本棚に置いておいて読み返したくなるのは、新井英樹。比べるもんでもないのだけど。多分新井英樹でなくても、誰かの漫画を読むたびに、浦沢直樹の漫画って自分にとってなんなんだろうと思えてしまうような、不思議な不足感が浦沢漫画にある。

浦沢漫画には、作家のポテンシャルよりも低いところで成立しているように見えてしまう損なところがある気がする。浦沢直樹漫画の読みやすさはいろんな巧さによると思うけど、それぞれの巧さが、あまりに自然でサラッとしていてストレスがない。かつての努力によって勝ち得た技術を手ぐせのように出力しているだけで漫画が完成してしまっているのではないかと見えてしまう。そんなわけがないし、作品から苦しみが滲んでないといけないわけもないのだけど。

漫画は読み進めるものだけど、そのための推進力だけではなくて、あるコマが目に止まってずっと見ていたいような、過ぎ去った後もずっと印象に残り続けるようなシーンも求めたい。展覧会のように、全体構成は確かにあるけど、別に一枚の絵だけ見てられればそれでいいっていうようなものでもある。浦沢漫画には展覧会の目玉になる絵があるだろうか。そう考えると、浦沢漫画には「この絵」というのがない気がする。浦沢漫画には画風はあるけど、常にコマとコマの関係の中に読み取る動きと画風が掛け合わされた映像だけが読み心地としてあり、後から振り返ったときに思い出す「止め絵」というのがほとんど無いのではないか? 物語には緩急があってだから心地よく読み進められるのだけど、絵の出来に緩急がなく全て一定に見える気がする。

 

浦沢漫画は一度全て売り払いはしたものの、今はむしろ好きで集め直していて今後も読み続けたいと思っている。だけど何故かそれと反対の気持ちも消えず、自分としてはそれをうまく消化したいと思っている。批判的な考えを展開しているうちに違う考え方が降りてくるかもしれないと思っていろいろ書いてみた。